テレビやニュースでよくみる「閣僚」とは具体的に何(誰)を指しているのでしょうか。閣僚の役割や性質を紹介します。
また、よく似た名称である官僚との違い、閣議と関係閣僚会議の違いについても解説します。
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スタディサプリEnglish ビジネス英語閣僚とは
閣僚とは、内閣を組織する各国務大臣を指します。財務大臣、総務大臣、外務大臣などです。
閣僚の「閣」は「内閣」で、「僚」は「同じ役割の仲間」という意味です。
閣僚には首相は含まれない
閣僚は国務大臣全般を指します。このなかには内閣総理大臣は含まれません。
というのも、総理大臣は国会で指名され天皇によって任命されます(日本国憲法第6条第1項)。そして、国務大臣は総理大臣によって任命されます(日本国憲法第68条第1項前段)。
そのため、「国務大臣」には「内閣総理大臣」は含まれないと解釈されています。
出世する閣僚ポスト
現在、閣僚は全部で19名任命されます。すべての閣僚ポストが重要ですが、その後内閣総理大臣に出世していくポストは限られています。
総務大臣、財務大臣、外務大臣を経験した政治家はその後総理大臣になっていくことが多く、文部大臣は民間からの登用も多く総理大臣になることは少なめです。
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閣僚は政治家でなくても良い
閣僚(国務大臣)は必ずしも政治家である必要はありません。国務大臣の過半数は政治家でないといけないと規定されており(憲法68条1項但し書き)、裏を返せば国務大臣の半数未満は政治家でなくても良いのです。
内閣不信任決議が可決されると辞職する
内閣の支持率が下がるなどすると、野党から内閣不信任決議案が国会に提出されることがあります。大抵は与党の反対多数で否決されますが、与党内で造反者が出ると可決される場合もあります。過去4回可決されました。
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内閣不信任決議が可決されると、内閣は10日以内に総辞職する必要があります。このとき、総理大臣だけでなく全閣僚が辞職します。
閣僚と官僚の違い
閣僚と官僚は名称が似ていますが、違います。閣僚は前述のように国務大臣を指し、官僚は省庁所属の役人を指します。
閣僚は各省庁のトップなので、閣僚と官僚は上司と部下(閣僚が上司、官僚が部下)の関係です。
ただし、首相秘書官のように、内閣府において首相の日常業務を支援するための特別職の公務員もいます。首相の囲み取材でもたびたび登場するため、首相近くの閣僚のように見えますが、れっきとした官僚です。
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閣議と関係閣僚会議の違い
内閣が開く会議について、閣議と関係閣僚会議というものがあります。これらは名称が似ていますが、異なる会議です。
閣議とは
閣議(かくぎ)は内閣の職権行使に関して、意思決定のために開かれる会議です。
「行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う」(内閣法第1条第2項)という規定に基づいて全会一致が原則で、法令や条約の公布などを決定します。
閣議は定例閣議と臨時閣議に分かれています。
定例閣議は火曜と金曜の週2回開かれ、大臣の海外出張や法令の改正決定などが主です(首相官邸参考)。
それに対して臨時閣議は定例日程とは別に必要に応じて開かれる閣議で、予算の変更・追加などが決定されます。
関係閣僚会議とは
関係閣僚会議とは、重要案件に関する決定をするために、関係する省庁の担当大臣と随時行う会議です。
例えば能登半島沖地震の対応策を決定したりしています(首相官邸参考)。
まとめ
閣僚について解説しました。「閣僚=国務大臣」ですが、内閣総理大臣は含まれません。
各省庁のトップなので、省庁の役人である官僚の上司にあたります。
また、閣僚が集まって内閣の意思決定を行う会議を閣議と呼びます。関係省庁の閣僚と協議を行う関係閣僚会議とは異なり、国会で決まったことや大臣の出張を認める定例閣議や、予算の追加・変更を行う臨時閣議に分かれています。
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