日本は女性の政治家が少ないと言われます。世界とくらべてどれほど少ないのか、特に先進国のなかでどれほど少ないのかの状況をまとめ、またなぜ少ないのか理由もまとめています。
世界の女性議員の割合
世界の女性議員の割合状況をまとめました。
列国議会同盟(IPU:Inter-Parliamentary Union)という、1889年に設立された国際組織による調査結果をもとにしています。
女性議員の割合一覧
まず、2024年4月時点での女性議員の割合をまとめました。下院(日本でいう衆議院)の女性議員比率です。
国名 | 女性議員の割合(%) | |
1位 | ルワンダ | 61.3 |
2位 | キューバ | 55.7 |
3位 | ニカラグア | 53.9 |
4位 | メキシコ | 50.4 |
5位 | アンドラ | 50 |
ナミビア | 50 | |
アラブ首長国連邦 | 50 | |
8位 | アイスランド | 47.6 |
9位 | コスタリカ | 47.4 |
10位 | スウェーデン | 46.7 |
11位 | ボリビア | 46.2 |
南アフリカ共和国 | 46.2 | |
13位 | セネガル | 46.1 |
14位 | フィンランド | 46.0 |
15位 | モナコ | 45.8 |
16位 | ニュージーランド | 45.5 |
17位 | デンマーク | 45.3 |
18位 | ノルウェー | 44.4 |
19位 | スペイン | 44.3 |
20位 | モザンビーク | 43.2 |
21位 | エクアドル | 43.1 |
22位 | ベルギー | 42.7 |
23位 | 北マケドニア | 42.5 |
24位 | アルゼンチン | 42.4 |
25位 | エチオピア | 41.3 |
26位 | モルドバ共和国 | 40.8 |
27位 | オーストリア | 40.4 |
28位 | ガイアナ | 39.4 |
29位 | カーボベルデ | 38.9 |
30位 | オランダ | 38.7 |
31位 | アンゴラ | 38.6 |
32位 | ペルー | 38.5 |
スイス | 38.5 | |
東ティモール | 38.5 | |
35位 | ブルンジ共和国 | 38.2 |
36位 | オーストラリア | 38.0 |
セルビア | 38.0 | |
38位 | スロベニア | 37.8 |
39位 | ドミニカ共和国 | 37.5 |
40位 | タンザニア | 37.4 |
41位 | フランス | 37.3 |
42位 | アルメニア | 36.5 |
43位 | アルバニア | 35.7 |
44位 | チリ | 35.5 |
45位 | ドイツ | 35.3 |
46位 | イギリス | 34.8 |
47位 | ウズベキスタン | 34.6 |
48位 | カメルーン | 33.9 |
ウガンダ | 33.9 | |
50位 | クロアチア | 33.8 |
51位 | ベラルーシ | 33.6 |
52位 | ルクセンブルク | 33.3 |
52位 | サンマリノ | 33.3 |
54位 | ネパール | 33.1 |
55位 | ポルトガル | 32.6 |
56位 | 南スーダン | 32.4 |
57位 | イタリア | 32.3 |
58位 | 赤道ギニア | 32.0 |
58位 | ラトビア | 32.0 |
60位 | エルサルバトル | 31.7 |
61位 | スリナム | 31.4 |
62位 | グレナダ | 31.3 |
セントクリストファー・ネイビス | 31.3 | |
64位 | ベトナム | 30.6 |
65位 | カナダ | 30.4 |
66位 | エストニア | 29.7 |
67位 | ギニア | 29.6 |
ポーランド | 29.6 | |
69位 | シエラレオネ | 29.5 |
70位 | リトアニア | 29.3 |
シンガポール | 29.3 | |
72位 | イラク | 29.2 |
アメリカ | 29.2 | |
74位 | コロンビア | 28.9 |
75位 | マリ | 28.6 |
トリニダード・トバゴ | 28.6 | |
77位 | ジンバブエ | 28.1 |
78位 | リヒテンシュタイン | 28 |
79位 | ドミニカ共和国 | 27.9 |
80位 | マルタ | 27.9 |
81位 | エジプト | 27.7 |
82位 | ジャマイカ | 27.4 |
83位 | ホンジュラス | 27.3 |
フィリピン | 27.3 | |
85位 | モンテネグロ | 27.2 |
86位 | タジキスタン | 27 |
87位 | バルバロス | 26.7 |
88位 | ベナン | 26.6 |
89位 | 中国 | 26.5 |
90位 | ジブチ | 26.2 |
91位 | チャド | 26.1 |
92位 | チェコ | 26.0 |
93位 | トルクメニスタン | 25.6 |
94位 | ガボン | 25.5 |
95位 | ブルガリア | 25.4 |
96位 | ウルグアイ | 25.3 |
97位 | イスラエル | 25.0 |
レソト | 25.0 | |
99位 | モロッコ | 24.3 |
100位 | パラグアイ | 23.8 |
101位 | ケニア | 23.3 |
モーリタニア | 23.3 | |
103位 | アイルランド | 23.1 |
104位 | ギリシャ | 23.0 |
105位 | スロバキア | 22.7 |
106位 | パナマ | 22.5 |
107位 | ラオス | 22.0 |
108位 | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 | 21.7 |
109位 | エスワティニ | 21.6 |
110位 | キルギス | 21.1 |
ウクライナ | 21.1 | |
112位 | マラウィ | 20.7 |
113位 | セーシェル | 20.6 |
114位 | バーレーン | 20.0 |
バングラデシュ | 20.0 | |
グアテマラ | 20.0 | |
モーリシャス | 20.0 | |
118位 | サウジアラビア | 19.9 |
トルコ | 19.9 | |
120位 | ソマリア | 19.6 |
121位 | カザフスタン | 19.4 |
タイ | 19.4 | |
123位 | ジョージア | 19.3 |
124位 | 韓国 | 19.2 |
ルーマニア | 19.2 | |
126位 | ボスニア・ヘルツェゴヴィナ | 19.1 |
127位 | トーゴ | 18.9 |
128位 | マダガスカル | 18.5 |
129位 | アゼルバイジャン | 18.1 |
モンゴル | 18.1 | |
131位 | バハマ | 18.0 |
132位 | 北朝鮮 | 17.6 |
133位 | ブラジル | 17.5 |
134位 | ブルキナファソ | 16.9 |
135位 | コモロ | 16.7 |
136位 | リビア | 16.5 |
137位 | ロシア | 16.4 |
138位 | パキスタン | 16.2 |
139位 | チュニジア | 15.7 |
140位 | ベリーズ | 15.6 |
141位 | ミクロネシア | 15.4 |
142位 | ザンビア | 15.0 |
143位 | インド | 14.7 |
144位 | コンゴ共和国 | 14.6 |
ガーナ | 14.6 | |
ハンガリー | 14.6 | |
サントメ・プリンシペ | 14.6 | |
148位 | キプロス | 14.3 |
149位 | カンボジア | 13.6 |
150位 | マレーシア | 13.5 |
151位 | コートジボワール | 13.4 |
152位 | ヨルダン | 13.1 |
153位 | サモア | 13.0 |
154位 | コンゴ民主共和国 | 12.8 |
155位 | マーシャル諸島 | 12.1 |
156位 | ブルネイ・ダルサラーム | 11.8 |
157位 | 中央アフリカ共和国 | 11.4 |
158位 | ボツワナ | 11.1 |
セントルシア | 11.1 | |
160位 | リベリア | 11.0 |
161位 | ナウル | 10.5 |
162位 | シリア | 10.4 |
163位 | 日本 | 10.3 |
164位 | ギニア・ビサウ | 9.8 |
165位 | フィジー | 9.1 |
166位 | ガンビア | 8.6 |
167位 | ソロモン諸島 | 8.0 |
168位 | アルジェリア | 7.9 |
169位 | トンガ | 7.1 |
170位 | キリバス | 6.7 |
171位 | レバノン | 6.3 |
パラウ | 6.3 | |
173位 | アンティグア・バーブーダ | 5.6 |
174位 | スリランカ | 5.3 |
175位 | モルディブ | 5.0 |
176位 | イラン | 4.8 |
177位 | カタール | 4.4 |
178位 | ブータン | 4.3 |
179位 | ナイジェリア | 3.9 |
180位 | クウェート | 3.1 |
181位 | パプアニューギニア | 2.7 |
182位 | バヌアツ | 2.0 |
183位 | オマーン | 0 |
ツバル | 0 | |
イエメン | 0 | |
エリトリア | 0 | |
ハイチ | 0 | |
インドネシア | 0 | |
ニジェール | 0 | |
ベネズエラ | 0 |
日本は163位です。下位です。
世界の平均女性議員比率は26.9%
世界全体では、女性議員の比率は26.9%です。日本は衆議院・参議院合わせて15.3%です。
女性の人権が制限されている国も多いなか、世界の半分ほどです。
先進国の女性議員比率
では、先進国のなかでは日本はどうなのでしょうか。
G7(先進七か国)の女性議員比率
G7(先進七か国)のなかでの日本の立ち位置を見てみます。
国名 | 女性議員の割合(%) | |
1位 | フランス | 37.3 |
2位 | ドイツ | 35.3 |
3位 | イギリス | 34.8 |
4位 | イタリア | 32.3 |
5位 | カナダ | 30.4 |
6位 | アメリカ | 29.2 |
7位 | 日本 | 10.3 |
日本は7か国中、ダントツの最下位です。ほかの国が30%台で日本だけ10%台です。
OECD(経済協力開発機構)加盟国の女性議員比率
つづいて、OECD加盟国のなかでの日本の立ち位置をみてみます。OECDはG7を含めて全部で38か国が加盟しています。
国名 | 女性議員の割合(%) | |
1位 | メキシコ | 50.4 |
2位 | アイスランド | 47.6 |
3位 | コスタリカ | 47.4 |
4位 | スウェーデン | 46.7 |
5位 | フィンランド | 46.0 |
6位 | ニュージーランド | 45.5 |
7位 | デンマーク | 45.3 |
8位 | ノルウェー | 44.4 |
9位 | スペイン | 44.3 |
10位 | ベルギー | 42.7 |
11位 | オーストリア | 40.4 |
12位 | オランダ | 38.7 |
13位 | スイス | 38.5 |
14位 | オーストラリア | 38.0 |
15位 | スロベニア | 37.8 |
16位 | フランス | 37.3 |
17位 | チリ | 35.5 |
18位 | ドイツ | 35.3 |
19位 | イギリス | 34.8 |
20位 | ルクセンブルク | 33.3 |
21位 | ポルトガル | 32.6 |
22位 | イタリア | 32.3 |
23位 | ラトビア | 32.0 |
24位 | カナダ | 30.4 |
25位 | エストニア | 29.7 |
26位 | ポーランド | 29.6 |
27位 | リトアニア | 29.3 |
28位 | アメリカ | 29.2 |
29位 | コロンビア | 28.9 |
30位 | チェコ | 26.0 |
31位 | イスラエル | 25.0 |
32位 | アイルランド | 23.1 |
33位 | ギリシャ | 23.0 |
34位 | スロバキア | 22.7 |
35位 | トルコ | 19.9 |
36位 | 韓国 | 19.2 |
37位 | ハンガリー | 14.6 |
38位 | 日本 | 10.3 |
OECD38か国のなかでも日本は最下位です。
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女性議員の割合が低くても、女性大臣の割合が高いという可能性もあります。
そこで、IPUがまとめた2023年時点の各国の女性大臣の割合を表にしました。
国名 | 女性大臣の割合(%) | |
1位 | アルバニア | 66.7 |
2位 | フィンランド | 64.3 |
3位 | スペイン | 63.6 |
4位 | ニカラグア | 62.5 |
5位 | リヒテンシュタイン | 60.0 |
6位 | チリ | 58.3 |
7位 | ベルギー | 57.1 |
8位 | モザンビーク | 55.0 |
9位 | アンドラ | 50.0 |
9位 | コロンビア | 50.0 |
9位 | オランダ | 50.0 |
9位 | ドイツ | 50.0 |
9位 | ノルウェー | 50.0 |
14位 | カナダ | 48.6 |
15位 | 南アフリカ | 48.1 |
16位 | スウェーデン | 47.8 |
17位 | ルワンダ | 47.6 |
18位 | ペルー | 47.4 |
19位 | コスタリカ | 45.5 |
20位 | ニュージーランド | 45.0 |
21位 | オーストラリア | 43.5 |
22位 | エストニア | 42.9 |
22位 | ラトビア | 42.9 |
22位 | リトアニア | 42.9 |
22位 | スイス | 42.9 |
26位 | メキシコ | 42.1 |
27位 | アイスランド | 41.7 |
28位 | ポルトガル | 41.2 |
29位 | エチオピア | 40.9 |
30位 | モナコ | 40.0 |
31位 | ドミニカ | 38.5 |
31位 | スロベニア | 38.5 |
33位 | ホンジュラス | 38.1 |
34位 | アンゴラ | 37.5 |
34位 | エルサルバトル | 37.5 |
34位 | ルクセンブルク | 37.5 |
37位 | ブラジル | 36.7 |
38位 | サントメ・プリンシペ | 36.4 |
39位 | セルビア | 36.0 |
40位 | フランス | 35.3 |
~ | ||
42位 | アメリカ | 33.3 |
~ | ||
64位 | イタリア | 26.7 |
~ | ||
82位 | アルゼンチン | 22.2 |
~ | ||
128位 | イラク | 14.3 |
~ | ||
164位 | 日本 | 8.3 |
~ | ||
182位 | アゼルバイジャン | 0 |
182位 | イエメン | 0 |
日本は最下位に限りなく近い位置にいます。
女性議員が極端に少ないだけでなく、女性閣僚も極端に少ないことが分かります。
女性議員の割合推移
女性議員の割合が増えだした時期を紹介します。日本も世界も、増加しはじめた時期はあまり変わりません。
IPU(Inter-Parliamentary Union)の調査結果を参照しています。
生協の宅配パルシステム【おためし宅配】世界では1990年代から増加しつづけている
世界では1990年代に急激に女性議員が増加しはじめ、2000年代までに30-40%まで上昇した国もたくさんありました。
そこまで達しなかった国もたくさんありましたが、そうした国々も2000年代以降も上昇し平均して30%近くまで上昇しています。
日本も2000年から女性議員が増えはじめた
日本も2000年の衆議院選挙ではじめて女性議員が10%を越えました。
世界から数年遅れとはいえ、出だしはそれほど悪くなかったのではないでしょうか。
日本は2000年代で頭打ちしている
残念ながら10%を越えてからは女性議員の増加は止まっています。2009年に13%を越え、2022年にようやく15%を越えました。
世界とくらべて増加の仕方が非常にゆるやかです。
※関連記事:女性政治家の人数や割合
日本で女性議員の割合が低い理由
前述のように、日本は世界各国とくらべても女性議員も女性閣僚も極端に少ないです。
その理由をまとめました。
立候補者に女性が少ない
女性議員が少ない最大の理由は、立候補者に女性が少ないことです。
2021年の衆議院選挙では、女性候補者は17.7%に過ぎませんでした(内閣府男女共同参画局より)。当選した議員のなかで女性は9.7%にまで下がっており、これにより衆議院議員のなかで女性議員の人数・割合は選挙前から下がってしまいました。
女性議員が少ないので、結果的に女性閣僚も生まれにくいという悪循環です。
実際、女性議員の割合と女性閣僚の割合は同じくらいであり、仕事上の評価は「国会議員になりさえすれば男女ともに同程度」とも言えます。
世襲候補が当選しやすい
ではなぜ女性候補者が増えてこないのか。その理由のひとつに、選挙地盤の世襲制の課題があります。
選挙に強い(当選しやすい)のはやはり選挙地盤があり、世襲によって組織票を持つ議員です。1996年以降の国政選挙で、世襲候補の8割は当選しているそうです(日本経済新聞より)。
この点が、女性議員を増やしている外国の国政選挙とは異なっており、選挙のたびに問題視されています(神戸新聞より)。
選挙にお金がかかる
世襲ではない人物が政界に参加しようにも、「お金」の壁が大きく立ちはだかります。
1回の選挙で3000万円以上必要とされており(選挙活動の準備と費用)、選挙に出たからといって当選する保証はもちろんありません。落選すると無職です。
しかも当選後もパンフ送付や無償の講演会参加、事務所スタッフの雇用など多額の資金が必要です。
さらに、政治家という身分も3年に1回程度の選挙のたびにいったん失います。そしてまた3000万円の選挙費用が必要になります。
相当資金的なバックがないと、そもそも政治家を目指す・政治家でありつづけるのは大変です。
特定の立場にいる人が政治家になりやすいのが課題
まとめると、男性・女性というより、経済力や選挙地盤など特定の立場や状況にある人だけが国会議員になりやすい状況があるようです。
多様な立場の意見を政治に反映させるのが民主政治の根幹ですから、そういう意味では多様な立場の人がもっと政界に参加できるのが望ましいかもしれません。
多様な意見を吸収するのに困る政治家や政党も多いのではないかと思います。
各政党の個別努力だけでは限界か
女性議員の人数・割合を増やそうという動きはほとんどの政党でみられます。
※関連記事:政党ごとの女性議員の人数と割合
国会でも内閣でも女性の数は2000年以降、増えています。ですが、政党個々の努力では自ずと限界がありそうです。
どこまで女性議員の人数・割合にこだわるかは、その政党の方針によるでしょう。選挙に勝つことを最優先するなら、男女の区別なく「地盤」「看板」「かばん」の3つの「ばん」を備えている人を候補に立てたいでしょう。
どの政党が良い・悪いというよりも、国会議員が男性に偏っているのは社会の仕組みや選挙制度、政治の世界における慣習の影響も大きいように思います。
まとめ
世界の女性議員の割合をまとめて紹介しました。
世界では26.9%が女性議員です。世界200か国近いなかで日本は163位で、G7やOECD加盟国のなかではどちらも最下位です。さらに女性大臣の割合も164位とかなり低迷しています。
女性政治家の増加は世界より数年遅れではじまり、その後上昇カーブは極めてゆるやかなままです。
女性議員の人数が増えない理由として、女性を含めて、特定の立場にある人が国政に参加するのに大きな壁が立ちはだかっていると言えます。
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