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国会議員の年収(本業・副業):議員報酬引き下げに関する議論の内容やこれまでの改革内容をまとめました

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政治とカネ まとめ
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「国会議員の年収は高い」とよく言われます。秘書の給与や事務所の家賃も払っているから仕方ないという声もあれば、仕事の成果に見合っていないという声もあります。

そこで、国会議員の年収や給与・経費の仕組みを明らかにして、議員報酬を下げるべきという意見に関して賛成派と反対派の意見をまとめました。

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国会議員の年収

国会議員の様子

国会議員の給与は、国会議員歳費と呼ばれます。国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律に基づいて決められており、これには基本給や手当が含まれています。

以下がその内訳です。

国会議員の基本給(歳費)

月額:129万4,000円

この基本給は、国会議員が活動するための基礎的な給与です。

期末手当(ボーナス)

年間:約635万円

夏と冬の2回支給されるボーナスです。公務員のボーナスに準じて算定されます。

文書通信交通滞在費

月額:100万円

これは議員が仕事に使う交通費、通信費、滞在費などの経費にあたる手当です。現在では、用途に関する領収書の公開が義務付けられるようになっています。

新幹線

立法事務費

月額:65万円

これは立法に関する調査研究活動に充てる費用です。市民との対話や調査、専門家との意見交換などです。

一般市民と握手をする政治家

調査やヒアリングをして議員個人が法案をつくることを「議員立法」と呼びます。議員立法は内閣の立法に比べて成立しにくいのが特徴です。

議員立法について、以下の記事で詳しく解説しています。
議員立法とは

議長・副議長の基本給と役職手当

議長の月額:217万円
副議長の月額:158万4,000円

一般議員と異なり、議長や副議長は役職手当に相当する給与がつきます。

総合的な年収

年間総額:おおよそ4,000万円以上

副議長になると年収4,500万円、議長になると年収5,000万円ほどになります。

この年収は、議員の仕事の性質や責任に応じたものとして設定されていますが、国民からはその妥当性について議論になることもあります。

また、公設秘書については国会議員が給与を支払っているわけではありません。国会議員の秘書の給与等に関する法律に基づき、税金から支給されています。

さらに、国会議員の交通費は、JRと飛行機は無料です。

国会議員の納税

確定申告書

国会議員も一般の国民と同様に、所得に対して税金がかかります。ただし、議員特有の収入項目に対する課税の扱いには一部例外があり、詳細は次の通りです。

参考:税理士ドットコム「国会議員の年収は4,000万円超!収入の内訳、課税のしくみはどうなっている?」

課税対象となるもの

まず、一般国民と同様に課税対象になるものは以下のとおりです。

基本給(歳費)

議員の給与にあたる基本給(1,552万8,000円/年)は、一般の給与所得と同様に、所得税や住民税の対象になります。

期末手当(ボーナス)

期末手当(約635万円/年)も一般の会社員同様、所得税や住民税が課されます。これも課税対象の一部です。

課税対象とならないもの

課税対象外のものは以下のとおりです。

文書通信交通滞在費(月額100万円)

この手当は、議員の職務に関わる「経費」として支給されるため、非課税となっています。

使途は議員活動に関連する文書作成、通信費、交通費、滞在費などの経費補填として扱われます。

2022年に制度が改正され、使途に関する透明性が高まっているため、領収書の提出や用途の報告が義務付けられています。

旅費交通費

議員の公務での出張や移動に関わる旅費・交通費は、支給された範囲では非課税です。これは公務に必要な支出とみなされるためです。

議員宿舎の使用

地方選出の議員が利用する議員宿舎も、一定の基準内であれば非課税です。宿舎の家賃が一般の賃貸住宅よりも低額に設定されている点も特徴です。

その他の手当・経費

地方選出議員向けの宿泊費補助など、職務に関連する手当や経費は基本的に非課税扱いです。これも公務に必要な費用として見なされるためです。

国会議員の副業

最近では本業以外に副業をする人が増えています。国会議員の副業はどうなのでしょうか。

参考:
内閣官房 – 国家公務員の兼業について (概要)
衆議院 – 国会議員の兼職に関する質問主意書
NHK「国会議員の去年の所得公開」

国会議員も副業は可能

まず、国会議員は法律で副業を禁止されていません。つまり、議員職を務めながら会社経営や株式投資、講演活動、執筆活動などを行うことが可能です。

副業の制限事項

ただし、公職にある者として、利益相反の可能性がある活動や、職務上の情報を使って利益を得るような行為は禁止されています。

特に、議員としての職務に影響を与える可能性がある副業については、強く批判されることがあります。

副業をしている議員の数

副業をしている議員の人数については、公的に一律に公開されていませんが、毎年発表される「資産報告書」やメディアの調査によって、一部の議員が副業から収入を得ていることが確認されています。

特に多い副業の種類は、会社経営、取締役の役職、弁護士業、株式投資、講演活動、執筆活動などです。これらの活動は、国会議員としてのキャリアを生かしたものが多いです。

副業で得られる収入

副業による収入は議員によって異なり、個々の活動内容や規模に左右されます。特に会社経営や取締役の場合、年数百万円から数千万円の収入を得る場合もあります。

毎年公開されている国会議員の資産報告書によると、少なくない議員が副業で大きな収入を得ていることが明らかになっています。

たとえば、会社役員や顧問として年間数千万円を受け取り、年間収入が億に達している議員も複数います。2024年公開の資産報告書によると、自民党の中西健治・衆議院議員が7億4679万円の所得を得ていました。

国会議員の副業に関する議論と批判

副業に関しては、議員職に専念すべきとの意見もあり、副業が本業に影響を及ぼしているのではないかという批判があります。

特に、議員が自らの政治的な影響力を利用して副業から利益を得ている場合、利益相反の問題が指摘されることもあります。

副業は可能ですが、職務とのバランスや倫理的な問題に配慮が求められています。

実際、党首の所得額は国会議員全体の平均所得額とほとんど変わらないか、やや少ないくらいです(NHK「国会議員の去年の所得公開」より)。

国会議員の年収は他の職業と比べて高い?比較してみた

日本の国会議員の年収は一般的に高いと言われていますが、実際に他の職業や海外の議員と比べてどの程度の差があるのか、詳しく解説します。

一般企業の平均年収との比較

日本の国会議員(衆議院・参議院)の平均年収は約2,000万円とされています。これは、基本給(歳費)約1,300万円に加え、期末手当(ボーナス)や各種手当が含まれた金額です。

一方、一般企業の平均年収は、厚生労働省の統計によると約460万円~500万円程度です。大手企業に勤務する場合でも、年収は800万円~1,200万円程度が一般的です。

この比較から、国会議員の年収は一般的な会社員の約4倍以上であり、非常に高額であることがわかります。

参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

都道府県議会議員・市議会議員との比較

地方議員である都道府県議会議員市議会議員の年収は、国会議員と比べて低めです。

  • 都道府県議会議員:平均年収は約1,000万円~1,500万円
  • 市議会議員:平均年収は約600万円~1,000万円

都道府県議会議員は国会議員の約半分~3分の2程度、市議会議員は3分の1~半分程度の年収となっています。これは、役割や規模の違いに加え、地方自治体の財政規模の違いも影響しています。

参考:国立国会図書館「地方議会議員の報酬・手当等の待遇」

海外の議員の年収との比較

世界各国の議員の年収も比較してみましょう。

  • アメリカ合衆国:連邦議会議員の年収は約1,800万円~2,500万円
  • ドイツ:連邦議会議員の年収は約1,200万円~1,500万円
  • イギリス:下院議員の年収は約1,100万円~1,400万円
  • フランス:国民議会議員の年収は約1,200万円

日本の国会議員の年収は、アメリカと同等かそれ以上の水準であり、先進国の中でも高い水準にあります。特に、手当や交通費の補助などを含めた総支給額では、日本の議員は世界トップクラスといえます。

参考:諸外国における地方自治体の議会制度について – 総務省

国会議員の議員報酬に関する議論

日本の国会議員の報酬に対する節約や見直しに関する議論は、国民やメディアで頻繁に取り上げられています。特に経済状況が厳しい時期や政治スキャンダルの発生時には、議員の給与や手当に対する批判が強まります。

以下に、税金と報酬の関係、およびそれに関連する節約や見直しの議論について詳しく説明します。

議員報酬に関する主な批判点

議員報酬に関しての批判点をまとめると、いかのようになります。

税金で賄われる高額な報酬

国会議員の年収は歳費と期末手当だけで約2,000万円を超え、さらに手当を含めると4,000万円を超えてきます。

これらの報酬が税金によって支払われているため、国民からは「仕事に見合った報酬なのか」「高すぎるのではないか」といった批判がしばしば寄せられます。

文書通信交通滞在費の不透明さ

議員に月100万円が支給される文書通信交通滞在費は、以前は使途の報告や領収書の提出が義務付けられていませんでした。このため、プライベートな支出に使われたり、余った額が議員個人の資産に加わったりしているのではないかとの懸念がありました。

2022年には領収書提出義務が導入されましたが、さらに厳格な透明性を求める声が上がっています。

参考:衆議院 – 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案

政治資金規正法や収支報告書について以下の記事で詳しく解説しています。
政治資金収支報告書とは:収支報告の報告義務はどこまで?違反するとどうなる?
政治資金規正法とは:政治資金スキャンダルと歴代内閣への影響、政治資金規正法改正の内容をまとめました

節約や報酬見直しに関する議論の背景

議員報酬の見直しを要望する声が多く出るのには理由があります。

経済危機や災害時の報酬削減提案

リーマンショックや東日本大震災、さらには新型コロナウイルスのパンデミック時など、経済的に厳しい状況が続く際には、国民の負担軽減のために国会議員の報酬削減が提案されることが多くあります。

議員自身の率先した削減が求められるという議論が生じます。

例として、2020年のコロナ禍では、国会議員の給与を一時的に20%削減する法案が可決されました(参議院 – 議員歳費をめぐる近年の主な動向)。

これは、国民の苦境に寄り添う象徴的な措置として実施されましたが、これが十分かどうかについては賛否が分かれました。

議員定数削減との関連

報酬削減に関連して、議員の定数削減も議論されています。国会議員の人数自体を減らすことで報酬全体の総額を削減し、税金負担を軽減するという提案です。

しかし、議員数の削減には地域代表の削減につながる可能性があり、地方政治や少数派の声が反映されにくくなるとの批判もあります。

小選挙区や比例代表制といった選挙制度については、常に改正が行われています。比例代表制について、以下の記事で詳しく解説しています。
比例代表制を分かりやすく解説:メリット・デメリットやドント方式の仕組みを具体例を交えて説明します

報酬見直しや改革に関する具体的な提案と議論

議員報酬見直しの声を受けてさまざまな法改正が行われました。その内容をまとめると、いかのようになります。

文書通信交通滞在費の使途透明化

2021年における改革の一環として、文書通信交通滞在費に対する支出の透明性を求める声が強まりました。この手当は、長らく使途が明確でないまま支給されていましたが、報告義務や領収書の提出が2022年に導入されました。

これにより、税金の無駄遣いを防ぐための取り組みが進められています。

参考:NHK – 文書通信交通滞在費

議員報酬の自動引き下げ案

経済状況に応じて、国会議員の報酬を自動的に引き下げる制度を導入すべきだとの提案もあります。特に景気が悪化した際に国民負担を減らすため、議員報酬の削減をルール化することが議論されています。

しかし、議員報酬の削減が議員の質に影響を与え、優秀な人材が政治に参画しにくくなるとの懸念も存在します。

また、議員の報酬が低いと、逆に副業や利益誘導に走る可能性が高まるという懸念もあります。報酬を適切な水準に保つことで、議員が政治に専念できる環境を整えるべきだという主張です。

なお、かつては議員退職後のために「議員年金」制度が存在しました。議員年金について、以下の記事で詳しく解説しています。
議員年金の必要性と現実:なぜ必要だったのか、そして廃止後の影響を解説

まとめ

今後も議員報酬に対する議論は続くと考えられます。特に税金の使い方に対する国民の意識が高まり、政治家への信頼が問われる中で、報酬制度の透明化と改革は不可避の課題です。

さらに、デジタル化の進展や働き方の多様化によって、議員活動の効率化が進む可能性もあり、それに応じて報酬体系の見直しが進むことが予想されます。

このように、議員報酬の見直しや節約に関する議論は、国民の負担や経済状況、政治家への信頼を巡るテーマとして繰り返し取り上げられています。議員報酬は単なる給与ではなく、国民と政治家の信頼関係を象徴する要素としても重要視されています。

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