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比例代表制を分かりやすく解説:メリット・デメリットやドント方式の仕組みを具体例を交えて説明します

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国政選挙でよく聞く「比例代表制」。候補者個人ではなく政党に投票するシステムが、小選挙区制と比べてやや分かりにくい制度です。

そこで、比例代表制について、その仕組みやメリット・デメリットを解説します。

※関連記事:1票の格差とは:これまでの問題点や最高裁による違憲判決の推移、解決策を解説

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比例代表制とは

比例代表制は、選挙において得票数に応じて議席を配分する方式の一つで、選挙区内の全体の得票結果が議会内の席次に反映されることを目的としています。

この選挙方式は、小党や少数派の意見を議会に反映させやすいとされ、代表制民主主義の理念に合致したものと考えられています。

以下に、比例代表制の基本的な仕組みを解説します。

得票数に比例して議席を割り当てる

比例代表制の基本的な仕組みは、各政党や候補者が得た得票数に比例して議席を割り当てることです。

日本は小選挙区比例代表並立制

衆議院では「小選挙区比例代表並立制」が採用されています。これは、小選挙区制と比例代表制を組み合わせたもので、全国をいくつかのブロックに分け、そのブロックごとの得票数に応じて議席が配分されます。

2024年時点で、衆議院は465議席あり、そのうち289議席が小選挙区制で、176議席が比例代表制で選出されています。

※関連記事:比例代表制と選挙区制の違いとは? 〜衆議院と参議院における選挙制度の併用を徹底解説〜

選挙区とブロック

衆議院の比例代表制では、全国を以下の11ブロックに分けています。

  • 北海道ブロック
  • 東北ブロック
  • 北関東ブロック
  • 南関東ブロック
  • 東京ブロック
  • 北陸信越ブロック
  • 東海ブロック
  • 近畿ブロック
  • 中国ブロック
  • 四国ブロック
  • 九州ブロック

ブロックごとに比例代表の議席が配分され、政党が得た票数に応じて議席が割り当てられます。

政党名簿式

票の割り当て方式は大きく2つあります。日本では「政党名簿式」が採られています。政党名簿式では、選挙前に各政党が議員候補者の名簿を作成します。

選挙後、各政党が得た票数に基づいて、リストの上位から順に議席が配分されます。日本では「ドント方式」という議席配分方法を用いています。

ドント方式とは、得票数を1、2、3、…といった数字で割っていき得られた票数の多い順に議席を配分する方式です。

ドント式の具体例

例えばある選挙で選出される比例区からの議席数が7議席だとします。得票数は政党Aが2100票、政党Bが1500票、政党Cが900票だった場合、以下のような選挙結果になります。

割る数政党A政党B政党C
12100(当選)1500(当選)900(当選)
21050(当選)750(当選)450
3700(当選)500300
4525(当選)375225

単記移譲式

政党名簿式のほかに、単記移譲式が挙げられます。この方式は有権者が複数の候補者に順位をつけて投票する方式であり、イギリスで広まった投票制度でした。

この方式では、複数の候補者に順位をつけ、その順位割合の高い候補者が当選します。

当選させたい候補者1人だけを選ぶときにくらべて得票が無駄にならず、より広範な意見が反映されます。

比例代表制のメリット

比例代表制にはいくつかのメリットがあります。

多様な意見の反映

比例代表制の最大のメリットは、多様な意見を議会に反映させやすい点です。

小党や少数派の政党も、一定の得票数を得れば議席を獲得できるため、国民の幅広い意見が議会で表現されやすくなります。政治が特定のグループや階層に偏ることなく、よりバランスの取れた政策決定が可能になります。

死票の減少

単純小選挙区制では、選挙区ごとの勝者のみが議席を獲得するため、2位以下の候補に投じられた票は「死票」となります。

しかし、比例代表制では、各政党が得た票に応じて議席が割り当てられるため、投票した票が無駄になりにくいという特徴があります。より多くの有権者が自分の意思を議会に反映させることができるようになります。

選挙結果の公平性

比例代表制は、得票数と議席数の比例性を重視するため、選挙結果がより公平に反映されるとされています。

特に、国政選挙など全国規模の選挙では、有権者の意思がより忠実に反映されます。

比例代表制のデメリット

逆に比例代表制には以下のようなデメリットがあります。

政治の不安定化

比例代表制では、多様な意見が選挙結果に反映される反面、多くの政党が議席を獲得しやすく議会が細分化されやすくなります。

過半数を占める政党が存在しない「ハングパーラメント」状態が発生しやすく、連立政権の成立が必要になります。

連立政権は多くの利害調整が必要なため、政策決定に時間がかかり、時には政局が不安定化することがあります。

小党乱立のリスク

比例代表制では、小政党や特殊なイデオロギーを掲げる政党が議席を得やすいため、議会が細分化され、極端な主張を持つ政党が影響力を持つリスクがあります。

政策の一貫性が失われたり、重要な決定が進まないこともあります。

有権者との距離感の発生

政党名簿式比例代表制では、有権者が直接候補者を選ぶのではなく、政党に対して投票します。そのため、候補者と有権者の距離感が生まれることがあります。

小選挙区制と比較して、候補者が選挙区に密着した活動を行うインセンティブが弱まる可能性があります。

世界各国の選挙制度の例

世界のほかの国の選挙制度と日本の選挙制度を比較してみます。

イギリスの完全小選挙区制

イギリスでは完全な小選挙区制が採用されています。全国650の選挙区から1名ずつ議員を選出する方式です。選挙区内で1番多く票を獲得した候補者が当選します。

長らく保守党か労働党が第一党です。近年では保守党も労働党も議席数をやや減らし、代わりに自由民主党が議席数を伸ばしています。

ドイツの小選挙区比例代表並立制

ドイツでは小選挙区比例代表非並立制が採用されています。小選挙区での獲得議席数が比例で獲得した議席数を上回ると、その分を「比例での議席数」に回すことが可能です。

このため、小選挙区で落選しても比例で復活当選ができるのです。

有権者に人気がないけれど党内では重要な政治家の場合、比例名簿の上位に名を連ねることが多いです。

オランダの完全比例代表制

オランダでは完全な比例代表制が採用されています。各政党に1つずつ均等に議席が割り当てられます。

人気のある党はさらに多くの議席を獲得できますが、人気のない党でも1議席は得られる(議会に声を届けられる)という特徴があります。

国民から多くの支持を集める中心的な政党が2-3つある間は、「少ない声」も逃さないという意味で機能していました。ただし、近年では支持政党のバランスが崩れているため、小党分立状態にもなっています。

日本の小選挙区比例代表並立制

日本では小選挙区比例代表並立制が採用されています。一つの選挙区から1人の議員を選ぶ小選挙区と、全国を11ブロックに分けて政党名で投票する比例を組み合わせた選挙制度です。

小選挙区の候補者が落選しても、比例名簿の上位にいれば比例選で復活当選できます。

まとめ

比例代表制について解説しました。

比例代表制は、多様な意見を議会に反映させ、公平な議席配分を実現する選挙方式です。しかしその一方で、政治の不安定化や小党の乱立といった課題も抱えています。

国ごとに異なる形で採用されているため、その国の政治文化や制度とどのように調和するかが重要です。適切な議席配分方法や選挙区の設定などを通じて、より民主的で安定した政治運営を実現することが求められています。

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